出荷件数が増えるほど、システム料金が読めなくなる理由
契約した時点では、料金は明確だったはずです。見積書には条件が書かれ、月額も示されていました。それが数年後、請求書を見ても内訳がすぐには追えなくなります。料金表が改定されたわけでもないのに、です。
出荷件数が増えるのは、事業にとって望ましい変化です。ただ、事業が伸びるということは、料金を決めている条件のほうも動くということでもあります。本稿では、料金を動かす要素を整理し、比較するときに何を見るべきかを考えます。
システム料金が読みにくくなるのは、料金が複数の軸で動くからです
見積書は、その時点の自社を写した一枚の写真に近いものです。当時の出荷件数や拠点数、利用者数を前提に金額が計算されています。一方、料金体系は写真ではなく計算式であり、条件が変われば結果も変わります。
その計算式に入る要素は、出荷件数だけではありません。出荷明細行数、拠点数、利用者数、接続するシステムやECサイト数、追加機能・オプション、端末なども関係します。
出荷量や拠点、利用者が増えればシステムの利用規模も広がるため、それに応じて料金が変わる仕組み自体は合理的です。ただし、複数の条件が同時に動くと、「出荷件数が増えたら月額はいくらになるのか」「拠点を追加したら何が変わるのか」といった全体像が見えにくくなります。
そのため、「従量課金か定額か」という二択だけでなく、何が料金を動かすのかを分解して確認することが重要です。
物流の料金と、システムの料金は別の層にあります
料金を整理するときは、物流業務そのものにかかる費用と、システム利用料を分けて考える必要があります。
保管料、荷役費、配送費などは物流業務そのものの費用です。一方、出荷件数、明細行数、利用者数、追加機能などに応じて発生する料金は、システム利用料です。
3PL事業者では、荷主へ請求する物流料金と自社が利用するシステム料金が同時に存在します。自社物流でも、倉庫費や人件費、配送費とシステム利用料をまとめて「物流コスト」として扱うと、変動要因が混ざりやすくなります。
フルフィルメント一体型のサービスでは、物流業務とシステム利用が一つの請求に含まれる場合もあります。「システム料金が読みにくい」と感じたときは、この二つの層を分けて考えることが有効です。
見積書で確認しておきたいこと
システムを比較するときは、提示された月額だけでなく、その金額がどの条件で変わるのかを確認しておく必要があります。
特に確認したいのは、次の5点です。
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変動する項目は何か まず出荷件数、そのうえで拠点数、利用者数、接続するシステムやECサイト、追加機能などを確認します。変動すること自体ではなく、何をすると料金がどう変わるのかが事前に分かるかが重要です。
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初期費用に何が含まれているか データ移行、システム連携、設定、操作説明、導入支援などが含まれる場合は、その範囲を確認します。「初期費用一式」だけでは、追加作業が当初の範囲か追加費用か判断しにくくなります。
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料金試算の前提は何か 月平均だけでなく、通常月、繁忙月の最大出荷件数、年間出荷件数を見ておくことが大切です。振れ幅は業態によってかなり異なります。一般的なECでは時期による増減はあっても極端な倍率にはなりにくい傾向があります。ギフト商材が主力のECでは通常期を大きく上回ることもありますが、EC以外の一般的な企業では、ここまで振れるケースは多くありません。まず自社がどの型に近いかを把握することが、試算の前提になります。
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上限や条件を超えたときにどうなるか 従量料金が追加されるのか、上位プランへ移行するのか、契約変更が必要なのか。超過時の扱いによって、同じ月額でも運用時の考え方は変わります。
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更新時に料金が変わる可能性があるか 契約更新時の料金改定条件も、あらかじめ確認しておくと長期的な費用を考えやすくなります。
従量課金が悪いわけではありません
従量課金には、利用量が少ない時期の費用を抑えやすいという利点があります。事業を小さく始める場合や、出荷量が安定していない段階では、合理的な仕組みです。
また、「従量課金」と一括りにしても、計算方法は同じではありません。含まれる件数を超えた分だけに新しい単価が適用され、帯域ごとに積み上げて計算する方式が一般的です。ただし、計算方法は提供元によって異なるため、見積の段階で確認しておくと安心です。
従量課金の性格を一つ挙げるとすれば、費用が事後に確定するという点です。ひと月が終わって初めて金額が決まります。利用の実態を正確に反映した設計です。
一方、事業計画は事前に立てるものです。来期の予算も、荷主への見積も、まだ起きていないことに対して数字を置きます。
この時間差が、出荷量の振れ幅が大きい事業ほど負担になります。金額の高低ではなく、費用が確定するタイミングと、それを知りたいタイミングがずれる。料金体系との相性とは、おおむねこのことです。
比べるべきなのは、金額よりも「読めるかどうか」です
料金比較では同じ条件で月額を並べがちですが、実際の事業で条件は固定されません。
通常月はいくらか。繁忙月はいくらか。出荷量が増えたらどう変わるか。拠点や利用者を増やしたらどう変わるか。ここまで事前に想像できることが重要です。
「出荷が2倍になったときの総額」も比較方法の一つですが、より本質的なのは、事業計画に対してシステム料金をどこまで予測できるかです。
料金の予測可能性が効くのは、請求書を確認するときだけではありません。運用を変える、拠点を追加する、荷主や取り扱い業務を増やすといった判断にも関係します。資材の価格や供給のように外部要因で変わるものもあるからこそ、システム料金まで見通せることは判断材料になります。
3PL事業者では、システム費用が読めなければ荷主へ提示する料金を考えにくくなります。自社物流でも、予算策定や社内稟議で同じ制約が生じます。
上限件数内の定額という考え方
料金の予測性を高める方法の一つに、契約した上限件数の範囲内では、出荷1件ごとの料金を加算しない考え方があります。
この方式では、通常月と繁忙月で出荷件数に差があっても、契約した範囲内であれば月額は変わりません。
SHIPPも、この上限件数内の定額という考え方を採用しています。契約区分を判断する際には、年間の出荷量を月平均で確認し、根拠となる数字をもとに利用する企業と確認しながら決定します。出荷量が増えた場合に料金がどう変わるかも、見積段階で確認できます。
目的は安さではなく、費用が確定するタイミングを、判断する側に近づけることです。
料金体系は、事業の伸び方に合わせて考える
料金体系に唯一の正解はありません。事業が伸びる局面ほど、現在の金額だけでなく、出荷量や運用が変わった後まで料金を見通せるかが、重要な比較軸になります。
出荷工程でどこまで対応できるかは、機能一覧もあわせてご確認ください。