ピッキング方式の使い分け|オーダー・トータル・シングル・バッチを現場でどう選ぶか
出荷件数が増えると、ピッキングで歩行距離が伸び、商品を探す時間や後工程の待ちが増えやすくなります。方式選びを誤ると、検品や梱包の人員を増やしても出荷全体は思うように進みません。
この記事では、主に作業者が倉庫内を歩いて商品を取りに行くPTG型の現場を前提に、オーダーピッキング、トータルピッキング、シングルピッキング(1点オーダー対応)、バッチピッキングを整理します。ほかにもゾーンピッキング、ウェーブピッキングなどの考え方がありますが、ここではSHIPPが対象とする出荷現場で検討しやすい方式に絞ります。
親記事では、出荷件数が増えたときに現場が乱れる理由を、物流センターの出荷能力と作業設計の観点から整理しています。あわせて読むと、ピッキング方式を見直す意味が分かりやすくなります。
親記事:出荷件数が増えると現場が乱れる理由|物流センターの出荷能力と作業設計の考え方
ピッキング4方式の使い分け
ピッキング方式は、現場によって呼び方が異なることがあります。同じ名称でも、会社やシステムによって意味が少し違うこともあります。そのため、ここでは名称よりも、現場でどのような作業になるかを重視して説明します。
オーダーピッキング
オーダーピッキングは、1オーダーごとに商品を取りに行く方式です。作業の考え方が分かりやすく、後で注文別に分ける作業が少ないため、教育しやすい方式です。
一方で、注文ごとに倉庫内を歩くため、注文件数が増えると歩行距離が長くなりやすくなります。1オーダーあたりの物量が多い現場に向いています。
トータルピッキング
トータルピッキングは、複数オーダー分の商品を、商品単位でまとめてピッキングする方式です。同じ商品をまとめて取りに行くことで、同じ棚へ何度も行く回数を減らせます。
ここで重要なのは、トータルピッキングそのものは「商品を取りに行く作業」だという点です。その後に、まとめて取った商品を注文別に分ける工程が必要になります。この注文別に分ける作業が、一般に種まき方式と呼ばれる仕分け作業です。
- トータルピッキング:複数オーダー分の商品をまとめて取る作業
- 種まき方式:その後に注文別へ仕分ける作業
トータルピッキングは、少品種大量で、同じ商品をまとめ取りしやすい現場に向いています。ただし、後工程で仕分けスペース、仕分け間口、商品識別のしやすさが必要になります。
シングルピッキング(1点オーダー対応)
シングルピッキングという言葉は、一般的にはオーダーピッキングに近い意味で使われることがあります。この記事では、SHIPP上の運用区分として、1オーダーあたりの購入商品が1商品1点のみの注文を抜き出して処理する方式として整理します。
1点オーダーは、ピッキング後の確認や梱包の流れが比較的シンプルです。1点購入が全体の1割を超え、件数としても多い現場では、別に処理することで作業を単純化しやすくなります。
ただし、シングルピッキング(1点オーダー対応)は、単独で全体を解決する方式ではありません。多くの場合、他のピッキング方式と組み合わせて使います。
バッチピッキング
バッチピッキングは、複数オーダーをまとめてピッキングする方式です。複数の注文を1つの作業単位としてまとめ、作業者が倉庫内を移動しながら商品を取りに行きます。
SHIPPが想定する運用では、主にカート上に複数オーダーの間口を作り、ピッキングしながら注文別に分けていく考え方になります。
多品種少量で、出荷件数が多く、大きな仕分けスペースを用意しにくい現場では、バッチピッキングが有力な選択肢になります。
方式ごとの向き・不向き
| 方式 | 向いている現場 | 注意点 |
|---|---|---|
| オーダーピッキング | 1オーダーあたりの物量が多い現場 | 注文件数が増えると歩行距離が増えやすい |
| トータルピッキング | 少品種大量で、商品単位でまとめ取りしやすい現場 | 後工程で注文別の仕分け、つまり種まきが必要 |
| シングルピッキング(1点オーダー対応) | 1商品1点のみの注文が1割を超え、件数も多い現場 | 他方式との併用が前提になりやすい |
| バッチピッキング | 多品種少量で、出荷件数が多い現場 | カート上の間口管理や作業ルールが必要 |
この表だけで方式を決めるのは危険です。現場のスペース、人員、作業者の習熟度、帳票やシステムの対応状況によっては、うまく回らないことがあります。
方式を選ぶときは、次の点を合わせて確認します。
- 出荷量と注文傾向
- 1オーダーあたりの物量
- 1商品1点のみの注文の割合
- 作業者の歩行距離
- 仕分けスペースやカート間口の有無
- 新しい運用にスタッフが対応できるか
- 帳票、検品、梱包、送り状発行まで流れがつながるか
商材、出荷量、季節、セール時期によって注文傾向は変わります。方式を固定しすぎず、現場条件に応じて切り替えられる余地を持っておくことが重要です。
歩行距離を縮める「集合体ピッキング」という発想
PTG型のピッキングでは、作業者が倉庫内を移動します。現場調査では、作業導線の計画があるかどうかで、生産性が大きく変わる傾向が見られます。
熟練者は、棚の場所や歩行順を頭の中で並べ替えられることがあります。一方で、新人スタッフはピッキングリストの順番通りに動き、棚を探しながら行き来するため、移動が増えやすくなります。
ここで考えたいのが、集合体ピッキングです。集合体とは、似た特徴を持つ注文のまとまりです。
- 同じ商品を含む注文
- 近いロケーションの商品を含む注文
- 同じような棚を回れば処理できる注文
このような注文を作業単位としてまとめることで、同じ場所へ何度も行く回数を減らしやすくなります。ただし、離れたロケーションの注文を無理にまとめると、かえって移動距離が増えることがあります。
この記事では、次のように整理します。
- 集合体:似た注文をまとめた作業単位
- 集合体ピッキング:そのまとまりを使ってピッキングする考え方
- クラスタリング:似た注文を自動的にグループ化するシステム側の処理
出荷件数が少ないうちは、現場責任者や熟練スタッフが経験で作業しやすい順番を判断できるかもしれません。しかし、出荷件数や注文パターンが増えると、人の判断だけで集合体を作るのは難しくなります。
SHIPPで支援できること
SHIPPは、出荷業務に特化したクラウド出荷管理システムです。ピッキング方式を考えるときに重要なのは、現場に合った作業モデルを選び、出荷量や注文傾向に応じて運用を見直せることです。
SHIPPでは、作業モデルの設定により、現場の運用に合わせてピッキング方式を切り替えられます。条件に合わせて出荷作業を組み立てやすくします。
また、似通った注文を自動的にグループ化するクラスタリング機能を利用できます。同じ商品、近いロケーション、似た注文傾向をもとに作業単位をまとめられます。
ピッキング方式は、ピッキングだけで完結しません。SHIPPは、バーコード検品、一体型伝票・帳票出力、送り状発行、CSV取込・データマッピング、既存WMSや基幹システムとの連携も支援します。
まとめ:ピッキング方式は、現場条件に合わせて選び、切り替える
ピッキング方式に、唯一の正解はありません。オーダーピッキング、トータルピッキング、シングルピッキング(1点オーダー対応)、バッチピッキングは、それぞれ向いている現場が違います。
実際の現場では、商品特性だけでなく、出荷量、注文傾向、スタッフの習熟度、作業スペース、設備投資、帳票やシステムの変更負荷を合わせて見る必要があります。
特にPTG型の現場では、歩行距離をいかに抑えるかが重要です。同じ商品や近いロケーションの注文をまとめる集合体ピッキングの考え方は、出荷作業の効率化を考えるうえで有効です。
SHIPPは、作業モデルの設定によるピッキング方式の切り替えや、クラスタリングによる似た注文のグループ化を通じて、現場に合った出荷作業の組み立てを支援します。