複数の配送会社(マルチキャリア)を使う出荷現場では、送り状発行が思った以上に煩雑になります。

一見すると、WMS(倉庫管理システム)や基幹システムから配送会社ごとのCSVを出力し、それぞれの送り状発行ソフトに取り込んで印刷するだけに見えます。実際、多くのシステムでは配送会社別のCSV出力に対応しています。

しかし、現場で負荷になるのはCSVを出すことだけではありません。取込ボタンと印刷ボタンの間にある確認・訂正・判断作業、そして送り状発行を検品や梱包などの出荷フローにどう組み込むかが問題になります。

この記事では、複数配送会社の送り状発行がなぜ煩雑になるのかを、出荷現場の実務から整理します。

親記事:出荷件数が増えると現場が乱れる理由|物流センターの出荷能力と作業設計の考え方

なぜ複数配送会社を使う現場が増えるのか

複数配送会社を使う理由は、単に運賃を下げるためだけではありません。

一定の出荷件数がある現場では、配送会社を分けることで運賃交渉の余地が生まれることがあります。ただし、出荷数が少ない場合は物量が分散し、スケールメリットが出にくくなります。運賃だけで配送会社を増やす判断は、以前より慎重に見る必要があります。

実務上は、次のような理由で複数配送会社を使い分けることがあります。

  • 地域ごとのリードタイムを考慮したい
  • 離島や一部地域の追加費用を抑えたい
  • 繁忙期の集荷制限や積み残しリスクを分散したい
  • 荷主ごとに指定配送会社が異なる
  • 商品特性やサイズに応じて配送会社を分けたい

つまり、複数配送会社を使うこと自体は自然な選択です。問題は、その使い分けを出荷現場の作業としてどう支えるかです。

送り状発行は、単なる印刷作業ではない

送り状は、荷主側から見れば荷物に貼る出荷ラベルです。しかし配送会社側から見ると、自社のネットワーク内で荷物を仕分け、運び、届けるための業務伝票でもあります。

そのため、送り状には配送会社ごとのルールがあります。住所、郵便番号、時間帯指定、代引き、クール便、サイズ、個口、仕分け情報など、配送会社が荷物を処理するために必要な情報が含まれます。

配送会社が提供する送り状発行ソフトは、このルールに沿って作られています。自社の荷物を正しく処理するためには当然のことです。一方で、複数配送会社を使う荷主や3PLにとっては、配送会社ごとに画面、CSV項目、チェック内容、印刷手順、出荷実績の戻し方が分かれることになります。

複数配送会社の送り状発行で、配送会社ごとにCSV取込、確認、印刷、出荷実績返却が分かれる概念図
配送会社が増えるほど、CSV取込、確認、印刷、出荷実績返却の作業が会社別に分かれやすくなります。

送り状発行が煩雑になる理由は、ここにあります。印刷そのものが難しいのではなく、配送会社ごとのルールを、日々の出荷業務の中で繰り返し処理することが大変なのです。

取込ボタンと印刷ボタンの間にある現場作業

配送会社ごとの送り状発行ソフトを使う場合、基本的な流れは「データ取込 → 確認・訂正 → 印刷」になります。

この流れ自体は分かりやすく、単一配送会社で、決まった時間にまとめて印刷する現場であれば十分に機能します。

ただし、実際の現場では、取込と印刷の間にさまざまな作業が入ります。

  • 住所や郵便番号の不一致を確認する
  • 配送会社の仕分けマスタに合わないデータを修正する
  • 時間帯指定が可能か確認する
  • 代引きやクール便などの付加サービス可否を確認する
  • 訂正後に再取込する
  • 配送会社ごとに印刷対象を分ける
  • 出荷実績データを上位システムへ戻す

BtoCでは、購入者が入力した住所が最新の住所表記と合わないことがあります。BtoBでも、得意先マスタが古いまま残っていれば同じことが起こります。

つまり、送り状発行の現場では**「住所がマスタと一致しないからすべて止める」と単純には考えにくい**場面があります。

住所不備には、止めるべきものと進められるものがある

住所不備や指定条件の不一致は、すべてを同じ重さで扱うべきではありません

たとえば、住所マスタとの不一致は、古い住所表記や表記ゆれが原因のことがあります。配送先として大きな問題がなければ、現場判断で進めたいケースもあります。

一方で、配送会社の仕分けマスタに合わない不一致は、配送トラブルにつながる可能性があります。仕分けや配送ルートに関わる情報が不正確であれば、修正が必要です。

時間帯指定や付加サービスも同じです。午前中指定が難しい地域や、特定サービスに対応しにくい地域がある場合でも、その指定情報が配達現場にとって受取人の希望を知る手がかりになることがあります。

大切なのは、次のように分けて考えることです。

  • 出荷を止めて修正すべき不備
  • 情報として残しながら進められる不一致
  • 現場判断で扱うべき表記ゆれ

配送会社のルールを無視するという意味ではありません。配送トラブルにつながる不備は修正しつつ、現場を必要以上に止めない判断が求められるということです。

CSV連携できても、業務フローに組み込めるとは限らない

CSVを取り込んで送り状を印刷できることと、送り状発行を現場の業務フローに組み込めることは別です。

配送会社ごとの送り状発行ソフトは、多くの場合、取込と印刷を中心にした流れを前提にしています。これは「送り状をまとめて発行する」作業としては分かりやすい一方、現場の細かな作業設計には合わないことがあります。

物流現場では、次のような出し方をしたいケースがあります。

  • 検品工程でバーコードを読んだタイミングで送り状を出したい
  • 梱包工程で対象商品を確認してから送り状を出したい
  • 10件単位、20件単位などバッチ単位で送り状を出したい
  • 送り状発行をトリガーに、次工程の作業を進めたい
  • 荷主や商材ごとに送り状の出し方を変えたい
  • 配送会社ごとの締切に合わせて作業順を変えたい
CSV連携だけの送り状発行と、検品や梱包を含む出荷フローに組み込んだ送り状発行の違いを示す図
CSV連携だけで完結させると、検品、梱包、帳票出力、出荷実績返却との間を人の段取りでつなぐ状態が残りやすくなります。

このような場合、CSV連携だけでは現場に合わないことがあります。取込ボタンと印刷ボタンの間だけで完結する仕組みでは、検品、梱包、帳票出力、出荷実績返却までを一連の流れとして設計しにくくなります。

その結果、システムでは連携できているのに、業務としては人の段取りでつないでいる状態が残ります。

複数配送会社になると、作業は会社別・便別・時間帯別に繰り返される

配送会社が1社であれば、取込、確認、印刷、出荷実績返却の流れは1回で済みます。

しかし、3社の配送会社を使っていれば、基本的には同じ作業を3回繰り返すことになります。しかも、1日1回とは限りません。

出荷現場では、できるだけ早く荷物を出すために、朝一、昼前、昼過ぎなど、バッチを区切って処理することがあります。配送会社ごとの締切や集荷時間に合わせて、印刷タイミングを分けることもあります。

このとき、配送会社ごとにCSVを分け、取込を行い、住所や付加サービスを確認し、訂正があれば再取込し、印刷し、出荷実績を戻すという作業が発生します。

複数配送会社対応で大変なのは、対応会社数そのものではありません。会社別、便別、時間帯別に作業が分かれ、現場の段取りが複雑になることです。

3PLでは、荷主ごとにさらに運用が変わる

3PLや物流代行の現場では、荷主ごとに配送会社や出荷ルールが異なることがあります。

ある荷主はヤマト運輸、別の荷主は佐川急便、さらに別の荷主は日本郵便を使う。商材や配送先地域によって配送会社を分ける。代引きや時間帯指定の扱いが荷主ごとに違う。こうしたことは珍しくありません。

その結果、現場では次のような整理が必要になります。

  • 荷主ごとの配送会社設定
  • 配送会社ごとのCSV項目
  • 送り状・帳票・納品書の出し分け
  • 出荷実績データの戻し先
  • 締切時間や作業順の違い
  • 住所不備や付加サービス不一致の扱い

荷主が増えるほど、送り状発行は単なる印刷作業ではなく、出荷フロー全体の設計課題になります。

SHIPPで支援できること

SHIPPは、出荷業務に特化したクラウド出荷管理システムです。

送り状発行では、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・西濃運輸に対応しています。宅配大手4社に対応したクラウド型はSHIPPだけです。宅配大手4社を利用する現場でも、出荷業務を一つの流れとして整理しやすくします。

また、SHIPPはWindowsパソコンへShippServerをインストールすることで、ブラウザの操作だけでプリンターから送り状を出力する仕組みです。配送会社ごとの発行ソフトを個別に操作する運用と比べ、送り状発行を現場の流れに合わせて扱いやすくします。

SHIPPが重視しているのは、送り状発行を単独の印刷作業として扱うことではありません。ピッキング、バーコード検品、梱包、帳票出力、出荷実績連携まで含めた出荷フローの一部として扱うことです。

住所不備についても、すべてを同じ重さで止めるのではなく、住所マスタとの不一致と、配送会社の仕分けに関わる不一致を分けて捉えます。現場判断で進められるものと、修正が必要なものを整理しやすくすることで、出荷作業を必要以上に止めにくくします。

また、検品や梱包のタイミング、バッチ単位の作業、荷主ごとの運用に合わせて、送り状発行を出荷工程の中に組み込みやすくします。

複数配送会社(マルチキャリア)対応で重要なのは、単に各社の送り状が出せることではありません。配送会社ごとのルールを踏まえながら、現場の作業フローに合わせて出荷を組み立てられることです。

まとめ:送り状発行は、出荷フローの一部として考える

複数配送会社を使うこと自体は、いまの物流環境では自然な選択です。運賃、地域、リードタイム、繁忙期リスク、荷主ごとの指定など、使い分ける理由はあります。

ただし、配送会社が増えるほど、送り状発行は複雑になります。CSVを出力できることと、現場の出荷フローに組み込めることは別です。

だからこそ、複数配送会社対応の出荷管理システムを選ぶときは、「送り状が出せるか」だけでなく、**「送り状発行を自社の業務フローに組み込めるか」**を見ることが大切です。